理解に苦しむ解雇規制緩和論

マクロ経済(基礎編)

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 解雇規制緩和は、別のブログで批判した経営者や経営コンサルタント(とりわけ人事労務を専門とする人たち)が推奨しがちな政策である。解雇規制の緩和にはメリットもあるが、デメリットの方が大きいというのが筆者の考えであり、これを推進しようとする人々の主張は納得的ではない。
 2024年の自民党総裁選挙では、最有力候補だった小泉進次郎氏は解雇規制緩和を打ち出したが、全く支持が広がらず同氏は敗れた。小泉氏の主張内容をみると典型的な「よくある解雇規制緩和論」なので、材料として取り上げてみたい。ちなみに筆者はよく覚えていないが、東京新聞の報道によると2003年に父親の小泉純一郎元首相も解雇規制緩和の法案を提出し、野党の反対で不成立だったそうだ。

 小泉進次郎氏いわく「働く人は業績が悪くなった企業や居心地の悪い職場に縛りつけられる今の制度から、新しい成長分野やより自分にあった職場で活躍することを応援する制度に変えます」「企業は解雇に踏み切る前に希望退職者の募集や配置転換の努力をすることが義務付けられているが、これを大企業に限って撤廃し、代わりにリスキリングや再就職支援を課す」とのことである。
 誰もが気付くだろうが、前提が全く間違っている。労働者が会社を辞めることは法律上容易であり、縛り付けられていない。辞めにくい企業があることは承知しているが、法律上の権利である以上出るところに出れば100%勝てるし、退職代行サービスを利用してもいい。つまり自分の意志で会社にとどまっているのだから、解雇規制の緩和と何の関係もない話だ。経営者か経営コンサルタントに「それっぽい話」を吹き込まれ小泉氏自身がその矛盾に気付けなかったのだろうと推測するが、要するに「英会話講習と転職サービス担当者の紹介を免罪符に、解雇できるようにする」ぐらいの話ではないのか?労働者も生活がかかっているわけで、こんな程度の話であれば論外である。政治家であれば、大企業経営者だけに寄り添うのではなく、多くの労働者が幸せになれる手段を考えて欲しい。しかし親が元総理というだけの理由で、大企業役員クラスの年収が保証されるような二世議員には、庶民の痛みは到底わかるまい。


 単なる首切りではなく、大企業の余剰人員を本気で活用したいというのであれば、そんなものは市場に任せるべき話である。リスキリングすれば高年収が待っているというならば、政府が音頭を取らなくても労働者は勝手に勉強するだろう。要するに高い賃金を提示しなさいというだけの話であり、わざわざ努力して低賃金を選ぶ人がそうそういるわけがないではないか。勉強におカネがかかり過ぎるのが問題ならば、雇用保険の教育訓練給付制度を拡充する程度の話であり、解雇云々など余計なお世話である。

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