日本経済長期低迷の原因は不適切な財政政策

マクロ経済(基礎編)

積極財政の貨幣観を解説する資料を作成しました

 自分はかつてエコノミストだったが、なぜに日本経済はこうまで低迷が長引いているのか、理由がよくわからなかった。30年以上も賃金がろくに上がらない経済など、他に聞いたことがない。上がった上がったと言われる2023年も、物価ほどは上がっていないのだから実質的には下がった(すなわち実質賃金は低下した)。
 長期の経済成長を決定する最大の要因は、一般的には生産性である。あなたが床屋さんだったとして、1時間に1人分しかカットできなかったのに、技術を磨いて2人分カットできるようになれば生産性は倍だ。あるいは、技術を磨いて仕上がりをより美しくし、1時間に3,000円だった料金を6,000円に引き上げることに成功すれば、やはり生産性は倍になったことになる。だから、経済学者やエコノミストは生産性を論じたがる傾向にある。経済学では国内最高権威の1人とされる吉川洋東大名誉教授は、経済成長にはイノベーション(技術革新)が必要と繰り返してきた。技術革新があれば生産性は上昇するからだ。私自身もかつてはガチガチの市場原理主義者だったから、吉川氏ら主流派とされる経済学者の主張を鵜呑みにしていた。雑誌やテレビで積極財政派と主流派経済学者(構造改革主義者)の論争があると、必ず後者の主張に納得したものだ。
 我が国でも、規制緩和、研究開発投資、自己啓発支援など生産性に関係のありそうなことを色々とやってきた。しかし、1990年のバブル崩壊から30年以上経っても経済を正常化するようなイノベーションは起こらなかった。それどころか今や、かつては技術の面では遅れていた中国、韓国、台湾発のイノベーションがかなり目立つようになっており、日本の影は薄くなるばかりであるようにみえる。生産性向上に向けた我が国の努力が足りない面もあることを否定はしないが、それは諸外国も同じことで、少なくとも30年以上も日本だけで賃金がろくに上がらなかったことを説明する理由にはなりえない。吉川氏は今でもイノベーションと繰り返しているようだが、もはや結論は出ている、というのが私の認識である。生産性の上昇は無論必要だが、それ自体を目指しても低迷から脱することはできない。
 では日本だけの特殊性とは何だったのだろうか?物価上昇が低水準だったことを考慮すれば、それはつまり需要不足(結果的に供給過多)が異常なほど長期化したことだ。2022年以降は物価上昇率もだいぶ高くなったが、結論だけ言えば高過ぎるとは言えない。これに関する論点はたくさんあるので、ここでは以上の記述にとどめたい。今後のブログで丁寧に説明する予定である。需要不足を解消する方法としては金融政策と財政政策があるが、前者が「頑張り過ぎた」ことを考慮すれば、後者の「頑張りが足りない」ことが経済低迷の主因であろう。つまり財政政策が間違っていた可能性が高いのではないかと思っている。
 財政政策に問題があったことを示すには、多くの論点からの解説が必要になるが、おいおい私の考えを説明していきたい。私はもともと新興国エコノミストであり、日米欧を主としてフォローする世間のエコノミストたちとは多少異なる視点を提供できると考えている。

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