財政規律の重視が日本経済の長期停滞をもたらしたと筆者は考えるが、全く同じことが社会保険についても言える。財政に関する実質的な権限を幅広くもつ財務省さえ「取って配る」ことしか考えられないのだから、厚生労働省や同省が審議会等に集める学識者等が、それ以上のことをできるはずがない。「取れば景気が悪化するので財政がさらに悪化し、またさらに取る」、この繰り返し、無限ループである。まずは賃金が上がる経済を実現し、経済成長を安定軌道に乗せないからこういうことになるのだ。経常収支の黒字を抱えながら「財源ガー」なんてやっている国は世界でも日本とドイツだけだろう。
こうした中、政府が年金改革法案を提出し、いわゆる106万円の壁を撤廃するという。引き上げではなく撤廃だから、非正規雇用の人からも社会保険料を徴収しようという話であり、0点である。理由は上記したとおりだ。今は手取りが減る政策など一切やるべきではないのである。年金支給にマクロ経済スライドを導入しているのだから、106万円の壁も賃金なり物価なりに連動して引き上げれば手取り増になる。なぜやらないのか。
一方国民民主党は、国民年金保険料の「納付期間を少し延ばす」と言い出した。内容は執筆時点ではっきりしないが、国民年金の加入年齢を64歳まで引き上げる話だとすれば、これは0点どころかマイナス50点だ。賃金が上がらない経済の元で、年金不安を増幅させることがどれだけ経済にマイナスか、この党はわからないのだろうか。60歳以上の人の所得などしれており、さらに5年間国民年金保険料を支払わせるとは、この国は地獄か。しかも労働力供給は増え、ますます賃金には下押し圧力がかかるだろう。将来に絶望しかないこの国で、誰が子供を増やすだろうか。NISA・iDeCoが栄えて経済滅ぶということだ。しっかりと賃金が上がるのを確認できるまで、年金制度の改悪はやるべきでない。
前に別のブログでも書いたが、賃金が上がれば、高齢者を含め人々は勝手に働き始め、結果的に黙っていても社会保険料を払う人は増えるのだ。賃金引上げ以外のことを今は考えるべきではない。


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