先日、日本共産党が参議院選挙の選挙公約を発表した。同党は一貫して消費税に否定的な立場をとっているが、本サイトでは同党を積極財政勢力の一部としては捉えていない。今回はこの理由を説明したい。ちなみに筆者自身は保守寄りの人間ではあるものの、政治姿勢は関係なく、例えばれいわ新選組は明確に積極財政派だと思っている。以下NHKの報道より引用。
「共産党は5日、参議院選挙の公約を発表しました。物価高騰から暮らしを守るため、消費税の廃止を目指し、緊急に税率を一律5%に引き下げるとしています」
ここまでは良い。
「財源は法人税率の引き上げなど、大企業や富裕層に応分の負担を求める税制改革を進めることで確保し、赤字国債には頼らないとしています」
要するにおカネの分配(大企業・富裕層から庶民におカネを移転)の問題を言っているのであり、マクロでみて財政支出が足りてない、という主張ではないということだ。
確かに共産党の主張どおりに政策が実現すれば、低所得者が救われるという側面があるのは間違いなく、また所得が高い人は消費性向が低いため、彼らから所得の少ない人におカネを移転すれば景気は相対的に良くなる可能性はある。筆者も、こうした発想には必ずしも反対ではない。もっともらしい理屈をつけて、実態的に庶民からおカネを集めて輸出企業に補助金を回すという消費税の仕組みと比べれば、共産党の主張の方がベターだ。庶民生活が困窮して経済低迷が長期化し、経常収支は膨大な黒字となって対米関係を悪化させているというのに、まだこんなことをやっているのかという思いだ。
しかし、財政政策の財源はあくまで国債発行が主体であるべきだと思う。経常収支の黒字と対外純債権が膨大であるため、国債発行余力はとんでもなく大きく、そもそも「取る」必要性が薄いからだ。赤字国債を悪玉だと思っているのであれば、自公、立憲民主、維新、主流派と称する経済学者、オールドメディアなどと全く同じ発想ということになり、ちょっと景気が回復し始めるとすぐに増税姿勢を強める恐れがあるということだ。筆者の考えでは、赤字国債は単なる通貨の供給であり、何も悪いことではない。
それから、大企業・富裕層増税には弊害もある。このため、どこまでやっていいかは難しい問題だ。
1.増税をやり過ぎれば、大企業・富裕層は外国に出て行ってしまう。全面的に出て行かなくとも、彼らが日本国内への投資を控える恐れは十分にある。
2.大企業の定義をどうするか。企業が大企業に該当しないよう、合併を忌避したり、変な分社化を繰り返したりして非効率な組織になるようであれば、弊害は小さくないかもしれない。
3.同様に富裕層の定義をどうするかという問題もある。富裕層のレッテルを貼って、年収数千万円程度の世帯の発展を阻害すべきではないと個人的には思う。こういう世帯から「取る」のではなく、少しでもこういう世帯を増やすことが、少子化対策としては有効ではないか。


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