「消費税は安定財源」論の愚かしさ(25/8/23タイトル変更)

マクロ経済

積極財政の貨幣観を解説する資料を作成しました

 石破首相をはじめとする自民党の主流派議員は、減税の話になると必ず「消費税は社会保障のための安定財源」と繰り返す。一般有権者が「そんなもんかな」と思うのは仕方ないし、私自身もかつてはそう思っていた。しかし、これは初歩的な経済学の知見に真っ向から反する、誤った考え方だ。

(1)ビルトインスタビライザーをわかってない
 マクロ経済学には、必ずビルトインスタビライザーという概念が出てくる。大学で社会科学系の学部を出たのであれば、相当部分の人が学んだはずだ。所得税や法人税では累進税率が採用されているため、税収は不況期に大きく減少し、好況期に大きく増加する。つまり不況期には減税的効果で景気を下支えし、好況期には増税的効果で景気過熱を防ぐことで、経済成長を安定化させる。これがビルトインスタビライザーで、経済の自動安定化装置とも呼ばれる。
 翻って消費税は、好不況にかかわらず税率が一定なので、景気変動の影響をあまり受けない。これをもって緊縮財政派は「安定財源」と呼んでいるんだろうが、マクロ経済学の観点からはビルトインスタビライザーをもたない税と見なせる。はっきり言うと、不況と景気過熱を長引かせる悪税だということだ。 

(2)安定させるべきは税収ではなく国民生活
 ビルトインスタビライザーを持ち出すまでもなく、政府は国債を発行できるので、そもそも財源が安定している必要性など微塵もないのだ。不況期に困るのは国民生活であり、国民から好況期と同じ税率で消費税をとることに全く正当性はない。むしろ税収に頼らず国債発行で景気対策を打ち出す方が、不況を短期間で終了させることで、中長期的にみた平均的な税収は安定するはずだ。不況時の単年の税収に注目する意味が全くわからない。

 このように、自民党が言っていることはあまりに愚かしいと筆者は考える。これでは、おカネを国民から「取って配る」ところに利権と組織票が生まれるから、徴税ばかりに注力していると思われても仕方ないではないか。それにしてもオールドメディアはだらしないというか、なぜ自民党を追求できないのか。今回述べたことは正に教科書レベルの話であり、経済部の記者なら全員知っているはずだ。何らかの圧力が働いているのだろうか?

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