筆者は現在、エコノミストでもなければ、経済評論で収入を得ているわけでもないので、政策を事細かにフォローしてはいない。しかし、筆者がテキトーにニュースを見ている範囲でも、高市政権の政策は疑問がやや目立つようになっている。
積極財政の立場を維持する限り、高市政権を支持するというのが筆者の基本スタンスである。歳出の中身はとりあえず問わない。しかし、高市政権がやることはなんでもかんでも支持しているわけではないので、一応今回のブログを書いた次第である。特に「1.」はマクロ経済の観点から、「2.」は政治的に、政権の基盤に影響しかねない問題なので注意が必要だ。
1.日本銀行による利上げ容認
以前から繰り返し述べているが、物価の安定よりも実質賃金の上昇の方が大事であり、その道筋をつけるまで利上げをすべきではないと考えている。そして高市氏自身も過去、利上げには消極的な発言をしてきた。しかし、どうやら12月に利上げが決定されそうな方向である。
実のところ、積極財政の方向が打ち出された以上、12月に利上げがあろうとなかろうとそれ自体は小さな問題だ(筆者は、短期のマーケットの動きなどどうでもいいという立場である)。積極財政の結果として実質賃金の上昇が見えてくるのであれば、片岡剛士氏が言うとおりどのみち来年3月頃には利上げのタイミングが見えてくるからだ。
ただし、実質賃金の上昇を確認せずに、今後もどんどん利上げするのが妥当とは思わない。以下で述べるミクロな論点と異なり、利上げはマクロ経済の本丸である。アベノミクス期においては金融政策が景気を浮揚させようと頑張ってきたが、財政政策が邪魔をした。今度は、財政政策が頑張っているのに金融政策が邪魔をしかねないということだ。
コストプッシュインフレ下の金融政策は、国民の理解を得ながら進めるのが難しいが、「2%のインフレ目標を守ればそれでいい」とは思わない。それで済むなら日本銀行の審議委員などバカでもできる。日本銀行の優秀なエコノミストが、高度なモデルを用いて物価予測をもって来るから、それに合わせて金利を上げ下げすればいいだけだからだ。2%を守ることよりも、財政政策と連携しながら実質賃金の上昇を導くことが大事である。
筆者は何の責任もない人間だから言えるが、経済再生のためには、一時的な円安や、インフレの高進・継続を避けられると思う方が間違いだ。高市総理が難しい立場にあることは理解できるが、是非とも腹をくくって欲しいと思う。
2.コメ減反政策の法定化
コメ政策の迷走を受け、減反を法定化しようという話が12月5日に出てきた。筆者はコメの専門家ではないし、鈴木農水大臣の発言を事細かにフォローしているわけでもないが、どうも説明不足という印象がある。有権者はコメ農家だけではないわけで、多くの国民はコメの価格上昇に苦しんでいる。
オールドメディアに惑わされ続けてきた過去と異なり、今の有権者はずっと賢くなっていると思う。減反を法定化することがなぜ必要なのか、産業としての農業のあり方と農家所得、コメの関税政策、コメの備蓄政策と食糧安保、国民の生活など、様々な観点からきちんと説明すべきだ。
日本銀行の利上げと比べれば小さな問題だが、コメは誰もが日常的に消費する商品だ。この鈴木農水相の政策動向も、下手をすると高市政権のアキレス腱となりかねないだろう。
なお農政の問題については、キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹が「『おこめ券』でJAを救済したいだけ…税金4000億円で”史上最高値のコメ”を買わせる農水大臣とJAの癒着ぶり」という記事で、政府に批判的な立場から論じている。関心のある方は一読されたい。
3.こども1人当たり2万円ばらまき
公明党に配慮した結果という。なぜ子育て世帯だけ優遇するのか?高齢の親を介護している人は助けないでいいのか?なぜこのようなでたらめな政策を打ち出してまで、連立与党から勝手に離脱した公明党に配慮する必要があるのか?
物価高で困っているのは誰か、それを特定することは困難だ。だからこそ消費税率の引き下げがかなりの支持を得ているのである。
4.防衛増税開始
自民党は、防衛増税のうち所得税の徴収を2027年1月から始める方針のようだ。2026年4月に始まる子育て増税と並ぶ、岸田氏による負の遺産である。筆者は以前のブログで、どちらも将来世代が主たる受益者なのだから国債発行による資金調達で何の問題もないと主張したが、その思いに微塵の変化もない。
5.こどもNISA
こどもの名義でNISAをできるようにする制度で、2023年までのジュニアNISAに代わる制度という。詳細は省くが、要するに子どもがいるパワーカップルや富裕層を優遇する制度だろう。普通の人は、そこまでNISA枠を増やされても消化しきれない。
少子化の原因が少婚化であることは既に広く知られており、子育て支援よりも未婚者の年収を増やすことが大事である。だから今は、倹約奨励策であるNISAの拡充はもう止めて、景気拡大に注力すべきだというのが筆者の考えである。

コメント