私が前々回のブログで「失われた40年は回避」と書いたら、米軍のイラン攻撃が始まってしまった。全く困ったもので、成り行き次第では景気は悪化しかねない。原油価格が上昇することが無論最大の問題だが、3月19日の高市・トランプ会談で艦船の派遣を求められるという話もある。断れば日米関係の悪化、受け入れれば国内で政争の具にされかねない、といった具合で難しい対応を迫られる。
私は、外交・安保の専門家を気取って知ったかぶりをしようなどという気はさらさらない。高市氏が対米交渉をうまくまとめてくれることを期待したい、としか言いようがない。一方で原油価格については、各調査機関の試算を見る限り、現在の1バレル=100ドル程度であれば、それほど心配は要らない。高市総理は、必要とあらば数兆円単位の補正予算を果断に打ち出すだろうが、それで十分だ。口ではそうは言わないだろうが、国債などいくらでも発行できる、プライマリーバランスなんてどうでもいい、この論理を高市氏はわかっているはずだ。
そう考えると、つくづく石破政権が続かなくてよかったと思う。「国民生活は困難に直面しているが、財政の健全性にも配慮せねばならない」とか言ってろくな対策を打ち出さなかった可能性が高い。対米外交でも、高市氏の方が安定感があるのではないか。高市氏でもうまくまとめられるか筆者にはわからないが、たぶん石破政権よりはましだろう。
政府よりも、気になるのはむしろ日銀の動向だ。日本銀行はバブル潰しを目的に、1990年までは利上げを続けていた。8月2日には公定歩合を6.0%に引き上げたが、同日にイラクのクウェート侵攻があり、原油価格が急騰した。このとき日銀は利下げの判断が遅れ、景気が急速に冷え込んだ。2000年にも同じようなことがあった。原油価格が急上昇する中で日銀はゼロ金利を解除。そしてその後、景気後退が訪れ、結局はゼロ金利に戻さざるを得なかった。コストプッシュインフレに高金利で対応してはならないのだ。
そして今、プラスの需給ギャップや実質賃金増加がいまだ定着してない中で原油価格が高騰、コストプッシュインフレを抑えようと田村審議委員や高田審議委員が利上げに前のめりになっている。円安進行を背景に、世論もかつてなく利上げを支持しているようにみえる。過去のブログでも再三述べているとおり、それは順番が違うよ、というのが筆者の見解である。多少インフレが長引いても、こうした過去の過ちを繰り返してはならない。利上げを待てと言ってもせいぜい3カ月や半年ぐらいの話、なぜ待てないのか。景気後退を招き、またゼロ金利に戻るようなことがあっては絶対にならない。

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