1年2カ月ぶりのブログ更新となってしまった(3月にアップした「積極財政の貨幣観」PDFファイルを除く)。書きたいことはあったのだが、生来の面倒臭がりと仕事上の都合により滞ってしまった。大変に不本意である。
さて今回のテーマは金融政策である。私は、非常に優秀で知識が幅広く、尊敬していたあるエコノミスト(さすがにお名前を書くのは差し控える)の影響を受け、植田総裁は非常に有能な人物であり、またインフレ目標の到達は近く段階的な利上げはやむなしと思っていた。しかし、国民生活が困窮を極める中での度重なる金融引き締めに、さすがに私自身も目が覚めた。世間はトランプ関税で大いに混乱しているようだが、この関税があろうとなかろうと、日本銀行のやっていることは問題があり過ぎる。
筆者は、2024年1月29日のブログ「インフレ懸念を測る指標④実質賃金は最重要指標の1つ」において、実質賃金は極めて重要な指標であり、2024年度のいずれかの段階でプラスとなるか日本銀行は慎重に見極めていると主張した。その後日本銀行は、2024年3月(マイナス金利停止)、同年7月、2025年1月と3回も利上げを実施した。
ところがその後の実質賃金をみると、単月ではプラスになる局面もあったものの、直近2025年2月速報で前年比▲1.2%、きまって支給する給与は▲2.5%と大幅なマイナスとなっている。国民生活がますます厳しくなる中で、日本銀行は景気を冷やし続けてきたのである。金融政策は「現状ではなく先行きを睨む政策」だが、読みを誤ったのではないか?なぜそこまでインフレ防止に躍起になり、景気回復を邪魔しようとするのか理解に苦しむ。なぜ実質賃金が確実にプラスになるまで待てないのか。それで結局、トランプ関税である。日本銀行は失敗を認めて利下げすべきだが、まあそうはしないのだろう。
それ以前の問題として、2%というインフレ目標はなぜそのままなのか。これはデフレに苦しむ2013年、第二次安倍政権下で導入された目標である。コロナ禍後の海外発物価上昇と円安を背景とするインフレ局面とは、全く時代背景が異なるわけだから、本来は見直すべきだったのだ。特に岸田政権以降は世界的インフレ高進が明白だったのだから。見直さないから2%という数字が独り歩きし、日本銀行は「2%を守ればいいんでしょ」みたいな態度になってしまう。
例えば、「CPI上昇率の長期的な目標は2%に置きつつも、実質賃金の増加をより確かなものとすることを短期的な最優先目標とし、5%程度までの一時的な上振れは許容される」とでもすればいい。さらに付け加えるならば、その目標に合わせて財政政策を出動すれば、内需を増やしながら利上げもできるから円高も実現できたはずだ。なぜ日本経済が長期低迷を続けているのか、それに対して安倍政権がどう取り組んだか、それをどう評価し今後は何をすべきか、安倍氏後の政権はおそらく何も総括していないのだろう。だから「アベノミクスは失敗だ、金利は上げよう」みたいな誤った方向に行っているとしか思えない。金利を上げて景気が良くなる、なんていう経済学は世界のどこにも存在しないのである。


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