たいして重要ではない「出口戦略」と「金融政策正常化」

マクロ経済(基礎編)

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 専門家と呼ばれる、狭い分野にものすごく詳しい人たちがいる。その知識は頼りになることもあるが、使い方を誤ると間違った結論が導かれることがある。一国全体の経済を考える場合、成長や分配を適正化することが最優先目標であって、その他の理屈は二の次というのが筆者の考えである。
 今回は金融政策の「専門家」について考えたい。実際のところ、どうにもよくわからないことを言うことが本当に多いのでカギかっこ付きになる。例えば、非伝統的金融政策からの「出口戦略」と「金融政策正常化」をやたらと重視する人がいるが、私は最初からこの人たちは何を言っているのかと思っていた。

 まずは出口戦略だが、「非伝統的金融政策を縮小しつつ、タイミングを計りながら利上げする」、以上である。他にやりようがないわけで、実際に日本銀行は、これを淡々と進めている。細かい手順は、それを機に市場がどう動くか、それに乗じてカネ儲けをできないか考える金融機関や投資家にとり重要かもしれないが、大部分の人にとってはどうでもいいことだ。出口戦略は案の定、だんだん死語化してきたという印象である。

 次に金融政策正常化だが、金融政策とはそもそも、マクロ経済にとって何が重要かを見極めてそれに向けた政策を遂行するということに尽きる。つまりマクロ経済への影響こそが最重要のポイントであって、手段が伝統的か非伝統的かなどどうでもいい問題だ。非伝統的金融政策には、インターバンク市場の機能不全など弊害があり、金融機関や短資会社の経営に打撃を与えてきたことは筆者も承知している。しかし「多角的レビュー」における日本銀行の見解は、基本的に好影響の方が大きかったというものだ。マクロ経済動向と弊害を両にらみしつつ、非伝統的金融政策を一定程度縮小すること自体は否定しないが、「マクロ経済の動向などどうでもいいので、とにかく非伝統的金融政策を縮小し、金利を上げることが正義である」かのような意見は明確に誤りである。
 日本銀行が未だ大量に保有しているETFやREITの処分は比較的大きな問題かもしれないが、別に解決を急ぐ必要はないし、そのまま日本銀行が保有し続けたところで誰が困るというのか。ETFやREITからの分配金は、日本銀行からの国庫納付金として最終的には政府に入ってくる。財源論が大好きな財政規律派にとってはむしろ喜ばしいはずで、それこそ年金財源にでも充てれば良い。無論、おカネなど政府がいくらでも作れることを知っているMMT派等にとっては、こんなのはくだらない議論に過ぎないのだが。
 繰り返すが、金融政策正常化があたかも至上命題であるかの如く語って、それを理由に非伝統的金融緩和を縮小したり利上げしたりすることを求めるのは明確に間違いである。2025年に入ってからは多少ましになったが、こういう変な議論が2024年には非常に多かった。金融政策はそもそも何のためにやっているのか、よく考えて欲しいところである。金融機関や海外投資家の利益が、安定的な経済成長に優先することなど未来永劫あり得ない。

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