インバウンド振興はもう止めよ

マクロ経済

 中国政府は11月14日、中国国民に対して日本への渡航を自粛するよう注意喚起した。この発言の発端となったのは高市総理の存立事態答弁だが、ここは安全保障を語る場ではないので深入りしない。それよりも、経済成長を財貨・サービスの輸出に頼ることの危うさを改めて認識させられる事態だと思う。筆者は、トランプ関税に際してはもう米国依存を止めよと主張したが、中国依存もやめなければならない。

 無論、米中との貿易を一切止めるなどという選択肢は現実的ではない。しかし、日本国民が高くて国内のホテルに泊まれない、軽自動車しか買えないと嘆いている一方で、使い切れないほど外貨をたんまりと持っているのに、外国に安値でせっせと財貨・サービスを奉仕してさらに「外貨をください」と言っているのが日本の現状だ。これ以上外貨を貯めこんで何をしようというのか?それで結局、インバウンドや自動車産業が主導する形での日本全体の本格的な景気拡大も、いつまで経っても訪れない。皆様も何かおかしいと思わないだろうか?そう、マクロ経済政策がおかしいのである。

 財貨・サービスの輸出主導で雇用と設備投資が増え、それが日本全体の景気拡大に結び付く可能性がないわけではない。筆者がかつて専門としていた新興国ではそのパターンが非常に多かった。しかし、それは政府が緊縮財政で内需拡大の邪魔をしないことが大前提となる。増税や社会保険の改悪、公共投資・補助金の縮小など、政府はありとあらゆる邪魔をしてきた。こうした邪魔を止めることは、当然高市政権が掲げる積極財政に含まれているはずだ。

 もっとも日本の場合、外貨はふんだんにあるのだから輸出主導の景気回復を待つこと自体が必要ない。自動車にせよ旅行サービスにせよ、国内に供給力はあるのだから、日本国民のおカネを増やして優先的に買ってもらえばいいのである。ただそれだけのことだ。値段高騰で国内観光旅行になかなかいけないとか、京都への修学旅行を諦めるとか、もう異常な事態である。ちなみに「おカネを増やせばいい」という発想は、他の産業分野、とりわけ医療分野と健康保険の関係にも当てはまると個人的には思っているが、その話はまた機会を改めたい。
 またインバウンドは基本的にローテク産業であり、いくら訪日客が増えてもたいした技術革新には繋がらないだろう。つまり経済成長への貢献にはおのずと限界がある。
 これ以上のインバウンド拡大は意義に乏しいので直ちに振興策を止めるべきだ。利上げによる円高誘導は間違った政策であるので他の手段、例えばビザの全面復活などが考えられる。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました